成績が上がる勉強法 その1
「ノートに書く1時間」と「記憶に集中する1時間」は、まったく別物。
テレビ番組の中で、東京大学出身の弁護士が、学生時代の話をしていました。東京大学といえば、日本で最も合格が難しく、最難関の大学です。当然、東京大学に合格する生徒は、日本屈指の「勉強のできる人」です。弁護士になるためには、さらに難関があります。「司法試験」という、日本で最も難しい国家試験に合格しなければいけません。2年間の勉強は当たり前、人によっては合格までに10年以上かかるという人もいるようです。弁護士になっている人は、皆、司法試験に合格することが必須です。そんな東京大学出身の弁護士が話していた、学生時代の勉強法で印象的だった内容がありました。
「授業中にノートを取ったことがない」
という話でした。一切ノートは取らずに勉強し、最も合格が難しい東京大学、最も難しいとされる司法試験にも合格して、弁護士になっていました。番組の司会者は腹を抱えて大笑いし、会場のほかの視聴者も信じられないという様子でした。完全に冗談で言っている、という雰囲気が漂っていました。しかし、勉強効率の面から考えると、当然の方法です。むしろ、それこそ本当に勉強をしている姿です。
さて、話は変わって、次に私の高校時代のあるクラスメートについて紹介します。
高校3年のとき、同じクラスに一生懸命に勉強しているにもかかわらず、成績の上がらない男の子がいました。授業中は、先生が黒板に書く文字を一生懸命にノートに書き写します。毎日、家で2時間は勉強していると言います。私は彼と同じクラスだったので、彼の真面目な性格から嘘を言っている様子はありませんでした。しかし、……、彼の成績は一向によくなりませんでした。私より一生懸命に勉強している彼のほうが、私より成績が悪いのです。どんな勉強法をしているのか聞いて、その理由が分かりました。彼が言っている勉強とは「教科書をノートに書き写していること」でした。彼が勉強していると言っている2時間は、実は教科書に書いていることをノートに書き写している時間のことでした。
ノートにたくさん字を書けば、いつの間にか理解して覚えることができ、勉強だと思っているようでした。私は驚きました。それは、まったく勉強ではありません。文字のお稽古です。
本当の勉強とは「理解して記憶すること」のことを言います。物事を噛み砕いて理解し、頭に記憶するのが、勉強です。教科書をノートに書き写す作業の中には、理解も記憶もありません。いつまでも成績が上がりません。
一方、授業中まったくノートを取らないという東大出身弁護士の話は、その逆です。授業中に何をしていたのかというと、先生の話を必死で理解し、内容を記憶すること一点に努めていたのです。成績がよくなりました。「ノートに書くだけの1時間」と「記憶するための1時間」は、質が全然違います。前者は「文字の稽古の1時間」であり、後者こそ「勉強の1時間」です。
あなたの勉強法を見直しましょう。成績の悪さのほとんどは、頭が悪いのが原因ではなく、勉強法が悪いことが原因です。勉強ができるのは、頭の善しあしではなく、勉強法の善しあしです。正しい勉強法で勉強すれば、頭の善しあしは関係なく、必ず成績は上がるはずなのです。
成績が上がる勉強法 その2
『アウトプットは、インプットが大前提。』
テストとは、覚えていることをどのくらいアウトプットができるかを、試す試験です。今、覚えていること、理解できていることを試し、一般的に0から100のスコアで数値化します。アウトプットをするために何が必要かといえば、当然、インプットです。インプットができていないのに、アウトプットをしようとしても、できません。知らないことを答えろと言われても、知らないものは知りません。当たり前のことですが、分かっていない人が多いようです。
勉強の手始めに、問題集やテストから手をつける人がいます。学習初期の段階で、どのような内容で問題が出題されるのか「雰囲気」をつかむために、問題集やテストをするならいいでしょう。「出題の形式」や「傾向」をつかむために、はじめに実際の模擬試験を受けて、雰囲気をつかむのであればかまいません。しかし、受けるとしても、3回で十分です。雰囲気、傾向、対策などをある程度つかめば、テストや問題集はしばらく休みましょう。
基本は、インプットです。ひたすら教科書を読んで、インプットをします。
「インプット90パーセント」と「アウトプット10パーセント」です。
大きな偏りでかまいません。教科書の隅々まで読んで、理解して、記憶します。十分なインプットによって自信がついてから、問題集やテストに着手して、アウトプットの出来栄えを確認するのです。
成績が上がる勉強法 その3
まず1冊の教科書を使って、徹底的に勉強する。
たくさんの参考書を使って勉強すれば、幅広い知識を身につけられると思います。教科書だけでは物足りず、市販されている参考書、問題集、資料などに手を出します。たくさんの本を買いそろえ、勉強します。問題ないように思えますが、実は大問題です。たくさん買った参考書のために、勉強する量が増えてしまうからです。買いそろえた参考書や資料などが10冊もあれば、一度読み終わった本を読み直す余裕がありません。どの参考書も中途半端な仕上がりになってしまいます。
これが、失敗する人の典型的な勉強法です。勉強する際に大切なことは「まず1冊を完全に仕上げること」です。10冊の本で勉強するより、1冊でいいですから「これだ」という本を徹底的に勉強します。本の内容の善しあしにもよりますが、古臭い本でもいいですから、一般的に「王道」と評価されている本が好ましいでしょう。理想はやはり、文部科学省認定の教科書です。学校で使用する教科書は、文部科学省が何度もチェックを重ねて、仕上げた本です。誤字脱字は当然なく、図、説明文、解説、内容も洗練されています。無駄な説明がなく、必要な項目のみに絞り、ページ数が少なくても、内容は濃い本です。試験に出る範囲を系統立てて整理してあり、学びやすいように配慮された1冊の教科書を、まず徹底的に勉強します。
自由に使える勉強時間が、10時間あるとします。1時間1冊で、10冊を勉強するより、教科書1冊を10時間、徹底的に勉強するほうがいい。その代わり、教科書に書かれていることは隅々まで理解し、暗唱できるほど覚えます。まずはこれが、なにより基本となります。たいていの場合、これで事足ります。
「練習問題も必要では?」いいところに気づきました。たしかに練習問題も必要です。しかし、まずはインプットが大前提です。徹底的にインプットをして、どのくらいインプットができているかをチェックするために、アウトプットである問題集を使います。インプットをしていないのに、アウトプットである問題集に手をつけても時間の無駄です。まず、教科書を徹底的に仕上げ、完璧なインプットを心がけましょう。十分に理解やインプットをしてから、問題集や模擬試験に挑戦するのです。
成績が上がる勉強法 その4
どんなに古臭い本でも「王道」と言われる本を1冊は持っておくこと。
どんなに古臭い本でも「王道」と言われる本を1冊は持っておくことが、学習の鉄則です。
私が以前受けた、コンピューター関係の資格試験の話です。本屋へ行った私は、勉強のために教科書を探していました。資格対策のための教科書が2冊もあり、どちらを選んで勉強しようか迷っていました。その2冊の特徴は、次のような内容です。
10年以上の実績がある「王道」と言われる教科書(ページ数:少)最近出たばかりの新しい教科書(ページ数:多)目新しさ、ページ数の多さ、解説の豊富さから、私は(2)を選んでしまいました。そもそも、これが失敗でした。結論から申し上げますと、私は一度試験に落ちてしまいました。の本で勉強していたにもかかわらず落ちてしまったのは、的外れの内容が多かったからです最新の内容をそろえているだけに、ページ数も説明も豊富だったのですが、テストにマッチしていない部分も多くありました。誤字脱字も多く、解説が間違っていることさえもありました。本に書いている内容が間違っていれば、試験にも合格できません。間違った内容を覚えて試験を受けてしまえば、本の内容をしっかり覚えていても間違えます。
私はその後(1)の王道と言われる本を買い直して勉強した結果、試験に合格することができました。のほうがページ数も少なく、説明も簡素なのですが、その簡素さが逆に説明も分かりやすく感じました。長年の実績から、試験に必要な説明だけが絞られていました。改版に改版を重ねていますから、誤字脱字も1つもありませんでした。試験を受けて合格するために、必要な理解、事柄が見事に系統立てて書かれています。まさに聖書です。
「王道」と評価されている本は、やはり理由があります。たくさんの人が使い、内容のチェックを通過した実績のある本ですから、そういう本は間違いなく購入したほうがいい。
試験に合格するためには、まず王道と言われる本を使って勉強することをおすすめします。学校であれば、文部科学省がチェックしている教科書そのもので結構です。何度もチェックして改版を重ね、全国の生徒が使用して、実際に合格へと導いたという実績もあり、完成度の高い1冊です。
一方、社会人が各種資格の勉強をするのであれば、その分野の王道と言われる本を1冊探しましょう。探すポイントは「古くても売れ続けているロングセラー」です。使った人からの口コミや実績で評価を得ている証拠ですから、内容もお墨付きなのです。
成績が上がる勉強法 その5
勉強には、王道の5段階がある。
勉強には、王道の5段階があります。次の5つの段階順に勉強を進めるのが、一番効率よく、合格率も高くなります。ここで紹介するのは、私が今まで研究して見つけた実績のある方法です。事実、このやり方でたくさんの資格を取ってきました。
勉強の基本5段階 1. 全体像の把握
2. 理解
3. 記憶
4. 復習
5. テスト
まず1.から順を追って説明します。教科書を読み進めるコツは、最初に全ページを一気に読み切ってしまうことです。細かい内容の理解や記憶は、しなくてかまいません。はじめにしなければならないのは「全体像の把握」です。「こうした内容、こうした問題、こうした流れで内容が進んでいくのか」という教科書の全体像を把握します。目次も利用しながら、スピードを持って、最初から最後まで一気に読み進めます。1段階目は、これで十分です。
内容の理解や記憶は、後回しで結構です。1段階目の勉強は、あくまでも「全体像を把握するため」に、一気に読みます。短くて1日で、長くても3日以内で、教科書全体を、スピードを出して一気に読み切ってください。多少なりとも無限と思えた勉強の全体像が確認でき、精神的に楽になるでしょう。全体像の把握は、2段階目に続く土台になります。
さて、次に、2段階目の勉強です。1段階目の勉強は「全体像の把握」に重点を置いた勉強でしたが、2段階目の勉強は「理解」に重点を置きます。時間をかけていいですから、各章、各項目をじっくり読み進めます。とにかく内容の理解を心がけましょう。2段階目には、1段階目とは違い、スピードはありません。内容を理解するために、時間をかけていいですから、じっくり読み進めましょう。分からないところがあれば、先生や友人に積極的に聞きます。検索してウェブサイトで調べたり、辞書を使ったり、先輩に聞いてみたりします。とにかく、理解に努めましょう。
続いて、3段階目の勉強です。3段階目の勉強は「記憶」に重点を置きます。1段階目の勉強では「全体像の把握」して、2段階目の勉強で「理解」に重点を置いた勉強でした。次こそ「記憶」です。今まで細かく覚えていなかった「名前」「年号」「場所」「特徴」などを細かく正確に記憶します。「なぜ、3度目に記憶なのか」ここが大切な点です。
理解と結びつけて勉強するためです。2段階目の勉強で、きちんと理解できていれば、3段階目の記憶は効率がよくなります。人間は暗記を苦手とし、覚えにくく、その上すぐ忘れます。しかし、理解を伴った記憶は、覚えやすく、忘れにくくなります。最初に理解をしておけば、記憶作業は効率よく進みます。2段階目に「理解」、3段階目に「記憶」という順です。この順は、最重要です。「名前」「年号」「場所」「特徴」を理解に結びつけて、覚えていきましょう。
4段階目は、折り返し地点になります「復習」です。2段階目の勉強で「抜けていた理解」や、3段階目の勉強で「抜けていた記憶」を復習して、穴埋め勉強をします。記憶は、復習すればするほど、定着します。短期記憶から、長期記憶へと変化します。何度も復習を重ねて、抜けていた穴を徹底的に埋めましょう。
「完璧だ」と言えるほど何度も復習を重ねて、最後に5段階目の「テスト」です。本番そっくりの模擬試験を受けて、ショックを受けてください。あなたが完璧と思っても、模擬試験を受けると、意外な問題で点を落としてしまうでしょう。自分でも気づかなかった穴を見つければ、2、3、4段階目に戻り、理解・記憶・復習をやり直します。このサイクルを繰り返し、模擬試験でのスコアが80~90点を安定して取れるようになれば、試験勉強は完了です。「本試験」を受けて、合格をつかみ取りましょう。
成績が上がる勉強法 その6
歴史は、漫画を読んで流れをつかむ。
賢い人は、まず漫画を読みます。サボっているのではありません。暗記の前に「流れをつかむこと」から始めます。勉強には「理解」と「記憶」があります。記憶の大前提は、理解です。理解をして、初めて記憶できます。理解を伴わずに記憶することを「暗記」といいます。
理解という流れが伴っていないので、暗記をして記憶ができても、すぐ忘れます。記憶を保持するのは、流れであり、理解です。流れも理解もできていない暗記は、記憶を保持するネットワークがないので、あっと言う間に忘れてしまいます。勉強が上手な人は、まず理解をするために、流れがつかみやすい漫画を読みます。歴史の教科書もいいのですが、あまりに淡々と事実だけが述べられ、登場人物の顔や喜怒哀楽までは記載されていません。歴史漫画では、登場人物の顔が分かり、喜怒哀楽を通して物語が進んでいきます。理解しやすく、覚えやすくなります。
日本史でも世界史でも、必ず「争い」が登場します。「争い」の背景には、必ず「原因」と「結果」があります。
争うことになった原因と、争った後にどのような結果になり、世界にどのような影響を及ぼしたのかを、流れを追って理解します。忘れにくくなります。漫画を通して、大局的な歴史全体の流れをつかみます。全体の流れをつかんでから、人の名前や年号などを細かく覚えていきます。全体的な流れがつかめたら、歴史の教科書に戻り、人物の名前、年号などを細かく覚えます。「森を見てから、木を見る」という勉強法は、すべての科目において普遍です。漫画だからとはいえ、侮ってはいけません。効率のよい勉強には欠かせない起爆剤になるのです。
成績が上がる勉強法 その7
100点を目指さない。90点も取れれば十二分。
試験合格を目指すとき、大切なことは「100点を目指さない」という姿勢です。およそ、80点から90点を目指しましょう。
たいていの各種試験は、合格ラインを70パーセント~80パーセントとしています。スコアが80点から90点を安定して取れれば、十分合格できるラインです。では、なぜ100点を目指してはいけないのでしょうか。
膨大な時間がかかりすぎるからです。時間対効果が、100点に近づくにつれ、薄くなります。100点に近づくにつれ、反比例して、時間もかかるようになります。一例として挙げれば、次のようなイメージです。
60点までは、20時間。
70点までは、40時間。
80点は、80時間。
90点は、160時間。
95点は、320時間。
100点は、1000時間。
これは単なる例の1つですが、ほとんどの試験において、この法則が当てはまります。100点に近づくにつれて、勉強時間が必要になります。安定して合格を取りたければ、80点から90点を目指すことです。
90点から95点を目指そうと思うと、倍以上の時間がかかります。
95点から100点は、もう計り知れない勉強量が必要です。
もちろん、試験に応じて合格ラインが異なりますので、状況に応じて判断しましょう。大切なことは「とにかく100点は目指すな」ということです。100点を目指す時間があれば、ほかの試験勉強に時間を回したほうが、得策です。
90点も取れれば十二分であり、実質100点と思っていいくらいなのです。
成績が上がる勉強法 その8
基本5科目「英国理数社」よりはるかに重要な、「自分」という科目がある。
大学受験では、早く志望校が決まった人ほど、合格率も高くなる結果があります。事実、本当です。
合格に必要な科目が分かり、早い段階から試験対策を進めることができますから、合格率も高くなります。受験日までに必要な勉強を絞ることができるので、エネルギーや時間も無駄が少なくなります。虫眼鏡のように、集中とエネルギーは一点に絞るほど、高い効果を発揮します。自分の進むべき道を決めることで大学が決まり、進むべき大学が決まることで必要な勉強が分かります。
さて、ここからが本題です。勉強以上に大切なことが、そろそろ見えてきませんか。あなたは「将来、何がしたいのか」という人生の大きな目的です。何がしたいのかという目的がなければ、必要な職業や道も分かりません。進む道を選ぶことができなければ、行くべき大学も分からず、必要な勉強も分かりません。広く浅くという勉強では、勉強量が膨大になるためスコアが取れず、逆にどんな試験にも合格できなくなります。まず、自分について徹底的に考えます。
「英国理数社」という基本5科目より、はるかに重要な科目があります。「自分」という勉強です。
自分の好きなこと・やりたいこと・夢を、はっきりさせることです。夢を紙に書き、明確にして、夢を達成するために、必要な目標を掲げます。早く大学を決めることができ、勉強における必要な科目を絞ることができます。ゆえに、合格率も高くなります。合格する人は、自分の人生の目的を語ることができます。
私が小学生のころ「動物博士」と呼ばれる友人がいました。
実家が魚屋さんで、小さなころから生き物に触れているため、魚のみならずさまざまな動物に興味を示して、本を読んでいました。結局その人は、今、動物病院の先生になっています。早い時期から「動物に関わる仕事がしたい」夢があったので、必要な勉強を絞ることができ、ストレートで大学に合格しました。動物病院の先生になるという夢を達成することができたのです。
成績が上がる勉強法 その9
勉強は、夜より、朝する。
合格する人は、勉強を夜より朝にします。
「夜のほうが、静かで勉強しやすい」
おや、本当でしょうか。自分の生活を変えたくないからと、言い訳していませんか。夜には面白い番組があり、ついテレビを見てしまいます。携帯電話が鳴って、気づけば長電話をしてしまいます。日中の疲れもたまり、頭の回転も鈍くなる時間です。あげくの果てには、眠気が襲ってうつらうつらし始め、勉強どころではなくなります。夜は、勉強の邪魔になる要素が、てんこ盛りです。
「勉強しているのに、なかなかはかどらない」
そういう人に限って、夜、勉強しています。そもそも夜は、最もはかどらない時間帯です。勉強の中心を夜にしているかぎり、本来の集中力を発揮できません。
勉強の時間を、夜から朝にしましょう。朝は、1日の中で最も邪魔が少ない時間です。早朝であれば、テレビ番組はまだ始まっていません。皆が寝ている時間ですから、携帯電話が鳴ることもありません。朝日は、夕日とは違い、すっきりした気分にさせてくれ、元気が出てきます。
「でも、やはり朝は眠い…」
それは、睡眠時間が少ないからではないでしょうか。睡眠時間が、7時間以下ではありませんか。睡眠時間は、必ず7時間以上取りましょう。勉強ができる人は、睡眠時間はたっぷり取ります。ぐっすり寝て、疲れが取れれば、朝はむしろ一番快調になる時間帯です。それでもなかなか眠気が取れなければ、朝にシャワーをさっと浴びたり、コーヒーを1杯飲んだりしましょう。近場の24時間ファストフードに、勉強場所を移動してもかまいません。この朝の快感は、一度知ると、やめられません。私はいつも、早朝から本を書き始めます。いつも4時ごろに起きて、近場の24時間レストランで執筆します。「大変ですね」という声が飛んできそうですが、全然大変ではありません。朝ですから疲れもなく、人も少ないので集中でき、夜に比べればはるかに楽です。朝の1時間は、夜の3時間にも4時間にも匹敵します。
朝の快感を知ると、仕事・勉強・作業が、すごいスピードで進むのです。
成績が上がる勉強法 その10
本当に勉強ができる人は、ノートを取らず、教科書に書き込む。
本当に勉強ができる人は、ノートを取りません。あらゆる試験は、教科書の範囲内しか出ません。本来、教科書をしっかり理解できていれば、十分合格するはずです。
たとえば、300ページの教科書があるとします。量が多いとはいえ、たかが300ページです。
「この300ページを勉強するだけで合格する」と思えば、気持ちも楽になりますし、事実そうです。もしノートを取ってしまうと、どうなるでしょうか。勉強量が増えてしまいます。
たとえば、ノートを100ページ、取ったとします。「教科書300ページ+ノート100ページ」、つまり計400ページまで勉強量が膨れ上がってしまいます。ノートを取るほど、復習する量が増えます。逆に成績が落ちます。
ある人は、こういう理由でノートを取ります。
「先生が大切なことを言ったからノートに書きとめる」
そういうときは、ノートに書きとめるのではなく、教科書に直接書き込みましょう。たしかに教科書とはいえ、分かりにくい説明もあります。分かりにくい内容に補足を加えるように、教科書の余白に書き込めばいい。気づいたこと、感じたこともすべて、教科書に書いてしまいます。復習の際、教科書を読むと同時に補足にも目を通すことになり、理解の助けになります。万が一、ノートがどうしても必要になれば、友人が書き写したノートを借りて、コピーすればいいだけの話です。
またある人は、こう言います。
「教科書に書いていない重要なことだから、ノートに書きとめる」
教科書に書いていないことをノートに書いても、試験の範囲外なので、覚える必要はありません。大切そうだと思って、試験に出ない内容まで覚えると、余計に時間が必要です。
「え? じゃあノートを取らなければ、授業中は何をしていればいいの」
先生の話をじっくり聞いて、理解し、記憶します。100パーセント、授業に集中です。それが本来の授業です。皆さんは、先生が黒板に書いていることをノートに書き写すことが勉強だと勘違いしていませんか。ノートを書いてもそれは、勉強ではなく、書写です。書写をしても成績が上がりません。よくなるのは、文字がきれいに書けるようになるだけです。
一生懸命にノートに書いている人に限って、ノートも清書書きのようにきれいに書いています。本当の勉強とは、理解して、記憶することです。その軸が、ブレないように気をつけましょう。
勉強ができる人ほど、ノートを取らないのです。
成績が上がる勉強法 その11
ノートオタクにならないこと。
どうしてもノートが必要であれば、ノートを用意してもいいでしょう。基本は、教科書に書き込むという姿勢です。しかし、思わぬ大切な情報を、先生が黒板に書き始めるということも少なくありません。ささいなポイントであれば、教科書に直接書き込めばいいでしょう。大きな関係図になると、教科書の余白に限りがあるため、書ききれません。そういうときは、ノートに書くしかないので、ノートを最大限に活用しましょう。しかし、間違っても、ノートオタクにならないよう注意しましょう。ノートオタクとは、次のような人のことです。
・ なんでもノートに書きとめる人
・ きれいな字で書きとめる人
なんでも書きとめる必要はまったくありません。本当に大切なところだけ、書きとめるだけで結構です。きれいな字で書きとめる必要もありません。きれいな字で書くことに集中してしまうと「勉強」ではなく「文字の稽古」になります。必要な事柄を忘れないように書きとめておくのが、ノートです。
英語でnoteとは、名詞では「ノート」という意味ですが、動詞では「書きとめる」という意味があります。覚える時間が十分にないので、忘れないようにノートに書きとめます。覚える時間がないくらいですから走り書きになり、当然、ノートの字は汚くなるはずです。自分のためのノートですから、自分だけが読める字でいい。
ノートが、きれいな人をときどき見かけます。ノートをきれいにとっていると、先生や友人から褒められ、一生懸命に勉強していると思われます。しかし、実際は一生懸命に勉強ではなく、文字の稽古をしているだけです。きれいに書くことが目的ではなく、後から復習することが目的です。字は汚くても、まったく問題ありません。
先生が一瞬口にしたポイント、教科書には書ききれない大きな図などを、ノートにさっと書き込むのです。
成績が上がる勉強法 その12
勉強に、生理現象の我慢は禁物。
勉強に、我慢は禁物です。我慢しないことで、勉強に集中でき、成績が上がります。勉強中は、とにかく我慢を取り払うことです。我慢するようなことがあれば、早期に解消しましょう。特に「生理現象」は、我慢をしても、自然と解消することはありません。どうしても気になり、いらいらして、勉強への集中力を奪います。
トイレに行きたいと思えば、トイレに行けばいい。どうしても眠いと思えば、寝ればいい。おなかがすいたと思えば、食事をすればいい。
実に単純なことです。むしろ勉強の集中力を阻害してしまうので、早めに解決しておきましょう。我慢をしないために、休み時間には、前もってトイレに行きます。昼休みには、ご飯をしっかり食べて、その後は昼寝します。トイレに行く時間も、ご飯を食べる時間も、昼寝する時間も、勉強するための前準備です。するなら、まとめてすることです。
我慢をなくし、全エネルギーを勉強にだけ集中させれば、素晴らしい集中力を発揮します。
成績が上がる勉強法 その13
効果的な勉強に「音読」は当たり前。
勉強の達人は「立って音読」をする。音読は、効果的な勉強には欠かせません。勉強の本質とは、理解して、記憶することです。効果的に「記憶」をするためには、たくさんの刺激を脳に送ればいい。刺激が大きければ大きいほど、脳は一発で覚え、忘れません。
過去の思い出で、いい出来事より悪い出来事のほうが鮮明に覚えているのは、悪い出来事のほうが刺激は大きいからです。刺激が大きいことで、脳は深く記憶を刻み込みます。
普段、私たちは、教科書を読むときには目視をします。教科書を読んでいて眠くなるあなた。もしかして、黙読していませんか。目視は、視覚しか使っていないので刺激が小さく、だから眠くなります。教科書を読んでいて眠くなったら、音読をしましょう。音読をすれば、目が覚めます。目で読み、声を出し、声を耳で聞きます。目・口・耳の3つを使って勉強することになるので刺激が大きくなり、覚えやすくなるうえに忘れにくくなります。さらに余裕があれば、立って音読をしましょう。席に座っているのではなく、立って音読をすれば、刺激はさらに大きくなります。目・口・耳・足の4つを使って勉強することになるので、絶対に眠くなることはありません。
勉強の達人は、音読はもちろん、立って音読をするのです。
成績が上がる勉強法 その14
トイレ・お風呂・自室の壁を、最大限に活用する。
効果的な勉強のためには、次の3つを最大限に活用しましょう。どれも毎日必ず向かうところですね。毎日必ず向かうところだからこそ、そこに何かあると自然と目にしてしまい、勉強につながります。
たとえば、洋式のトイレに英単語集を置いておきます。トイレで座っている間に、英単語を音読します。お風呂で英単語集を持ち込み、温まっている間、音読をします。温まっていると体全体の血流量が活発になり、脳も活性化している時間なので、覚えやすくなります。お風呂に入ったなら「ここまで勉強するまではお風呂から上がらない」という区切りをつけます。
自室の壁にも、暗記する必要のある事柄をまとめて紙に書いて、壁に貼っておくといいでしょう。学校へ行く前に部屋で着替えながら、壁を見て勉強します。学校から帰ってきたときも、着替えている間に、壁を見て勉強します。「ながら」でいいですから、時間を有効に使いましょう。
勉強できる人は、トイレ・お風呂・自室の壁を最大限に活用するのです。
成績が上がる勉強法 その15
区切りや制限時間を作ると、頭がしゃきっとする。
勉強のためには、トイレ・お風呂・自室の壁を、最大限に活用します。一生懸命に勉強しようと思えば、誰もが思いつくアイデアです。しかし、ここで、1つ問題が出てきます。どうしてもトイレ・お風呂・自分の部屋では、だらだらなってしまうことです。トイレ・お風呂・自分の部屋は、本来、リラックスするところです。リラックスするところで勉強する矛盾が、問題になります。うまくいきそうに思えますが、意外なことに、なかなか集中できません。集中より、リラックスしてしまいます。
さて、ここでよいアドバイスがあります。だらだらしないようにするためには、区切りや制限時間を作って、ゲーム感覚で行うのがポイントです。
「ここからここまでを覚えるまではトイレから出ないぞ」
「ここまでを読み終えるまでは、お風呂から出ないぞ」
「部屋で着替え終わるまでの時間は、音読し続けよう」
このように『制限時間』や『区切り』を明確に設けます。人間は、区切りがはっきりしていると、気持ちも引き締まります。区切りと制限時間を具体的に設けて勉強することで、トイレ・お風呂・自室でも、頭が回転するのです。
成績が上がる勉強法 その16
試験日は、最初に決めてしまう。
私が資格取得のために試験勉強をするとき、まず試験日を最初に決めてしまいます。試験日を最初に決めてしまい、残り時間が明確になることで、勉強への気持ちが高ぶります。実際に、それでたくさんの試験に合格してきました。試験勉強は、そもそも集中するものです。試験日を最初に決めてしまい、残り時間が具体的になることで、限られた時間内で集中できるようになります。勉強ができない人は、準備が十分にできてから試験の申し込みをしようとします。
「十分に勉強してから試験を申し込もう」
「いつか勉強しよう」
「機会があったら勉強しよう」
こういう『いつか』というのは、目標が明確でないためにだらだらします。だめとは言いませんが、気の長い話です。不思議なことに、こういう人に限って、試験に落ちます。時間も十分にあるために、気持ちだけでなく、勉強への姿勢も緩みがちになります。今の学力に自信がなくても、結構です。先に試験日を決めて、お金も支払ってしまいます。すると不思議なことに、勉強に集中できるようになります。試験日が明確になることで、残りの時間が具体化するからです。試験料も、自腹を切って払うことがポイントです。自腹を切ることで、せっかくのお金を無駄にしたくない気持ちも発生します。
「残り2週間しか時間がない。お金も払った。元を取らなきゃ! 頑張らなきゃ!」
勉強への姿勢が積極的になり、前向きな気持ちになります。高い試験料であるほど、勉強しようとする気持ちに拍車がかかり、勉強への起爆剤になるのです。
試験日は、最初に決めてしまうほうがいいのです。
成績が上がる勉強法 その17
勉強にお金を惜しむと、成績が伸びない。
勉強のために、お金を惜しむ必要はありません。勉強のために、お金はどんどん使いましょう。
お金がもったいないと思っていると、勉強に必要な本、文房具など買うことができなくなります。どうしても必要な参考書、資料などはもったいないと思わず、将来への投資と思い、買ってしまうのです。教科書を復習しやすくするために、付箋は惜しみなく買います。付箋があれば、後から復習が容易になり、勉強の効率が上がります。
ラインを引くための蛍光ペンも、せっかく勉強のために使うのであれば、値段は高くてもいい物を買うべきです。安物の蛍光ペンは、ラインがずれたり、にじんだりして、見づらくなります。きちんとした蛍光ペンのほうが、勉強には効果的です。
コピー機が自宅にあれば、時間の節約になり、勉強の効率が上がります。勉強にパソコンが必要なら、思い切ってパソコンを買います。勉強にお金を惜しまず投資することで、成績がぐんぐん伸びます。今、勉強のために投資したお金は、将来何倍にも返ってきます。
むしろ今、勉強のためにお金をかけておいたほうが、後から自分のためになるのです。
成績が上がる勉強法 その18
予習より、復習に力を入れよう。
授業での勉強の前後には「予習」と「復習」があります。きちんとする人もいれば、まったくしない人もいます。勉強の本質は「理解と記憶」であることを忘れないでください。理解と記憶をするために、予習して、復習をします。勉強ができない人は、決まって予習も復習もしません。
「予習はあまり意味がなく、復習は面倒」と思っています。することといえば、授業中、先生が黒板に書くことをノートに書き写すだけです。ノートに書き写しただけで、勉強した気になり、満足しています。だから実際は、テストで点が取れません。黒板の字をノートに書きとめる作業には、理解も記憶も必要ないからです。
一方、勉強ができる人は、予習も復習もします。予習も復習も、どちらも理解と記憶を促す作業です。予習をすれば、授業中に先生の話している言葉がよく理解できるようになります。授業中はノートを取らない代わりに、授業の内容に集中して、理解と記憶に徹します。分からないところがあれば、手を挙げて、どんどん質問します。授業が終わり、復習をすれば、記憶に残りやすくなります。確実に記憶するためには、やはり復習しかありません。
何度も復習して、頭に叩き込みます。ただし『力を入れるべきは、予習より復習』というポイントを忘れないでください。復習には、予習の何倍も時間をかけてください。
記憶のためには一度で覚えるのではなく、復習を重ねることで、繰り返し覚えるという姿勢が大切です。何度も復習して、覚えるのです。「試験日までどうしても時間がないんだ!」そういうときは、最悪、予習は省いて復習だけに力を入れてもかまいません。もちろん予習ができれば、理想です。しかし、時間の制約から、難しいときには、復習に絞った勉強でもいいでしょう。
とにかく勉強とは「理解と記憶」です。理解と記憶ができていない作業は、すべて無駄と考えましょう
成績が上がる勉強法 その19
重要な情報は、もったいぶらずに共有する。
ときどき、自分の知っている勉強情報を、他人に教えない人がいます。たまたま、自分が見つけた分かりやすい問題の解き方、考え方、ためになる参考書、重要な受験情報などです。
大切な情報をほかの人に教えると、ほかの人に真似されてしまい、おいしいところを持っていかれるような気がします。教えた人の成績が上がってしまい、逆に自分の順位が下がってしまうという不安があるからです。
もし、同じクラスで成績を競い合うとき、たしかにほかのクラスメートの成績が上がれば、逆に自分の順位が下がってしまいます。しかし、それでも、情報共有はしたほうがいい。クラスメートや友人を「敵」と考えるべきではありません。仲間と考えます。
ほかの人に負けてたまるかと、自分が知っている情報は他人に教えず、独り占めしていては、試験に合格できません。むしろ、自分の知っている情報は、どんどん仲間と共有し合うことで、結果として自分の成績もよくなります。友人関係も向上して、成績も上がるようになります。
積極的に、友人ともノートの交換をして情報共有をしましょう。クラス内で競っても、情報共有することでお互いに成績が上がれば、クラス全体のレベルが上がります。たとえ、自分の知っている情報をクラス内で共有して、自分の成績が多少落ちたとしても問題ありません。クラス全体の成績の平均値が上がっているだけです。仲間意識も向上して成績も上がり、クラスの雰囲気がよくなれば、さらに情報共有が進むことでしょう。
たとえば、友人の使っているノートを見せてもらって、勉強の参考にします。黒板の説明を書ききれなかったときには、友人からノートを借りて、コピーをさせてもらいます。またあなたも友人が困っているときには、助けるようにしましょう。特にセンター試験、大学受験など、全国レベルの大規模な試験ほど、自分一人の情報収集では限界があります。
多くの人からの有用な情報を集めて試験に立ち向かえば、有利な状態になります。たくさんの仲間からの情報収集で、あなたの成績は必ず上がります。
成績が上がる勉強法 その20
質を求めた勉強は失敗する。スピードのある勉強が成功する。
勉強ができる人は、まず、スピードが違います。一気にやってしまうスピードで、できるように集中力を発揮します。速さ優先。後から質を求めます。
たとえば、英単語100語を覚えるときに、あなたはどうしますか。質を求める人は、1日10語ずつ確実に覚えて、10日間で完成しようとします。しかし、この進め方では、1日目に覚えたことは、すっかり忘れていることでしょう。復習もせずに1週間前の内容は、忘れていて当然です。それどころか、昨日覚えた内容すら忘れているかもしれません。「一つ一つ、確実に」ゆっくり質を求めて進める勉強法は、美しいようですが、失敗します。
では、勉強ができる人はどうするのかというと、1日目で100語を一気に覚えます。もちろん100語を完全に覚えるのではなく、大まかに覚えます。それをやってのけるために集中して、スピードをもって勉強します。2日目から9日目までは、復習に時間を使います。書いたり、音読したりして、確実に自分の体に染み込ませて身につけます。
両者を比べた場合、当然、確実に覚えているのは後者のスピード型勉強法です。同じ10日間でも、身につけている具合がまったく違いますね。はじめから質を求めてはいけません。まず、スピードです。スピードの後に、質を求めましょう。
全体を一気に学び、復習に重点を置きます。普通は高校3年で高校3年の授業をしますが、進学校の場合、授業を進めるのが早い特徴があります。有名進学校では、高校2年の段階で、高校3年間の勉強をすべて終えるところが多い。授業にスピードがあります。なぜそうしたことをするのかというと、高校3年の1年間は、自分の進みたい大学に科目を絞り、復習する時間に充てるからです。
希望校に科目を絞って勉強して、忘れかけていたことを復習して、質を高めます。はじめは質より速さです。後から質を求めればいいのです。
成績が上がる勉強法 その21
復習効果を倍増させるには「1人授業」が効果的。
私は試験勉強のときには、よく「1人授業」をしていました。先生は、自分。生徒も、自分です。
学んだことを、自分が先生になった気分で立って、声に出して説明をします。もちろん自分の部屋でするのが、一番手っ取り早いでしょう。私の場合は、リラックスできるお風呂場で、よく1人授業をしていました。湯に浸かりながら声に出したり、頭や体を洗いながら、1人でぶつぶつ話したりします。言葉を口に出します。
この1人授業の一番の効果は、積極的なアウトプットにより、復習効果が高いことです。声に出して説明しようとすることは、いわばアウトプットです。しっかりインプットができていなければ、できることではありません。人は、学ぶ側より教える側に立ったほうが、いい勉強ができます。先生のように歩きながら、ノートを見て、声に出し、耳で聞きます。五感を徹底的に刺激して、復習します。
また説明をしようとすると「どう説明すればいいのか」という壁に当たることでしょう。覚えたと思った自分の記憶が、いかに曖昧だったかが分かり、言葉に詰まります。噛み砕いて分かりやすく説明するために、さらに頭を回転させます。脳の別の分野を刺激することで、より幅広く脳を活用することになるので、記憶も忘れにくくなり、復習効果も高いです。うまくアウトプットができるということは、しっかりインプットできている証拠です。アウトプットをしながら、より記憶をたしかなものにして、復習もできます。
あなたが復習をするときには、一度自分が先生になったことを想定して「1人授業」をしてみましょう。これをするかしないかで、勉強の効果は変わってきます。
成績が上がる勉強法 その22
睡眠時間を削ってまで、勉強をしない。
「勉強時間が足りない。そうだ。睡眠時間を削って勉強しよう」
勉強する時間がないと、睡眠時間を削って勉強しようとします。簡単であるため、真っ先に手を出してしまう方法です。しかし、睡眠時間を削ると、実際は成績が上がるどころか、下がってしまいます。睡眠時間を削って、勉強時間が増えれば、成績も上がるように思えます。しかし、現実はそう単純ではありません。
睡眠不足になれば、授業中は眠くなって集中ができなくなります。これは、人として当然のことです。眠くて頭がぼうっとすれば、頭も回転しません。元気・やる気・集中力など、あらゆる気力が一斉に低下します。睡眠不足では授業への集中ができなくなり、先生の話も聞いているだけになります。
また記憶は、睡眠中に定着します。眠っている間に、脳は日中に覚えたことを整理して、記憶に定着させます。せっかく夜遅くまで睡眠不足になりながら勉強をして、たくさん詰め込んだとしても、記憶が定着せず、忘れやすくなります。徹夜は暗記効果があるようで、薄いです。試験前に徹夜で勉強したことは、試験が終わればさっと忘れます。復習も睡眠も削ったため、忘れるときは、まさにあっと言う間です。当たり前といえば当たり前ですが、勉強法がしっかりしていない、中学生や高校生はよく陥りがちな罠です。睡眠時間を削って勉強すると、成績は下がります。
さて、勉強ができる人は、逆に睡眠時間はたっぷり取ります。勉強時間を削ってでも、睡眠時間はたっぷり取ります。最低でも7時間、人によっては8時間以上です。自分にとって最適な睡眠時間が分からないときには、目覚まし時計なしで自然と起きられる時間を目安にしましょう。目覚まし時計なしで自然と起きるということは、睡眠時間が十分ということです。これだけ眠れば、日中の疲れもすっかり消えてしまい、昼間は授業と暗記に集中できます。たっぷり睡眠を取ることで、記憶も眠っている間に定着します。
忘れてならないのは、睡眠時間が十分であれば、気力が向上するということです。元気・やる気・集中力・理解力・暗記力・体力などが、一斉に向上します。表情も明るくなります。勉強ができる人ほど、爽やかな表情です。「いつ勉強しているのだろう」と不思議に思ってしまうほど表情がいいのは、睡眠をたっぷり取っているからです。睡眠をたっぷり取ったほうが、むしろ成績はぐんぐん向上します。
成績が上がる勉強法 その23
勉強のできる人は、パンよりご飯を食べる。
勉強ができる人は、パンより、ご飯を食べます。「パンとご飯? それは勉強に関係するのか?」大いに関係します。ポイントは、噛む回数です。
パンとご飯を比較すれば、消化の悪いご飯のほうが、噛む回数が多くなります。噛む回数が多ければ、それだけ脳への刺激も増え、脳が活性化されます。頭の回転がよくなり、勉強もはかどります。また、パンはすぐ血糖値が上がりますが、下がるときには一瞬です。血糖値の上下も激しいので、取り急ぎ空腹を満たすにはいいのですが、食べて数時間後にはまたおなかがすき始めます。パンよりご飯のほうが、血糖値の上昇が緩やかであるため、腹持ちがいい。
勉強のできる子ほど、親子間の仲がよいものです。親子の仲がどこで育まれるのかというと、やはり「食事の場」です。母は食事に、パンよりご飯を選び、皆でゆっくり噛んで食べます。家族と食事をするときも、テレビは消して、親子の会話を楽しみます。親子の会話があれば、テレビ以上に、豊富な刺激の時間になります。父・母・子が、お互いの近状を話し合いながらする食事のほうが楽しく、親子間の結束もよくなります。パンが主食だと、噛む回数も少なく、すぐ食事が終わってしまうでしょう。
ご飯をおかずと一緒に食べて、家族と会話をゆっくり楽しむほうが、多感な時期の子供にとって、心の成長の時間となるのです。
成績が上がる勉強法 その24
ガムを噛めば、頭の回転がよくなる。
私の職場では、ガムを噛みながら仕事をしている人がいます。
傾向としては、仕事のできる人ほどガムを噛んでいる人が多いようです。もちろんすべてとは限りませんが、ガムを噛んで気持ちが緩んでいる人は少ないと感じます。ガムを噛んでいるからとはいえ、暇を持て余しているわけではありません。噛んで顎を動かし、積極的に脳へ刺激を送り、活性化させています。特に昼すぎは、食べたものを消化するため血液が胃に向かいます。反して、脳への血流量が減ってしまい、眠くなります。ガムを噛めば、眠気が吹き飛びます。脳への刺激が増すばかりでなく、脳への血流量も増して、活性化するからです。
さすがに授業中にガムを噛むわけにはいきません。仕事中でも、会議でガムを噛むのはほかの人への印象がよくありません。そうした場合を除いて、周りの人の迷惑にならない程度にガムを噛むのは問題ないでしょう。
自宅で勉強をするとき、ガムを噛みながら勉強すれば、頭の回転がよくなり、眠気が吹き飛ぶのは本当です。私の場合、眠くなったらガムを噛んで、その効果を実感しています。勉強中でも、仕事中でも、よくガムを噛んでいます。プロ野球選手でも、ガムを噛みながら、プレーをしている選手をときどき見かけます。
私は昔、だらだらしているからガムを噛んでいると勘違いしていましたが、実際は違います。試合中にガムを噛むことで頭の回転を活性化させ、プレーへ集中するためです。
ガムを噛めば、頭が冴えるのです。
成績が上がる勉強法 その25
テストの復習をする最もよいタイミングは、受け終わった直後。
高校では、季節の区切りに大学受験に向けた大規模な試験があります。全国模試です。
頻繁に実施しているわけではありませんが、本番の試験を再現した本格的な試験です。こうした大規模で本格的なテストでは、受験者の学力向上を意識して試験後に解答が配られます。小学校・中学校でも、気の利く先生は、あえて試験直後に回答を配ってくれます。なぜ、わざわざ試験直後に回答を配るのかというと、大切な意味があります。受け終わった直後に復習してほしいからです。また「受け終わった直後に復習をしてほしい」という願いも込められています。試験を受け終わって回答をもらえば、すぐ復習をしましょう。
テストを受け終わって開放感に浸り、友人と遊びに出かけたい気持ちもあるでしょう。長時間の試験を受けて疲れていることでしょうが、もうひと踏ん張りです。こうしたところで、ほかの受験者と差ができます。
テストの復習をする最もよいタイミングは、受け終わった直後です。試験中に、分からなくて、気になった問題があります。そういう問題こそ、試験直後に回答を確認すれば「なるほど。そういうことだったのか」と納得し、記憶に深く残ります。受け終わった直後ですから、試験の内容も鮮明に覚えているため、回答の内容も理解しやすくなります。
また試験を受け終わった直後は、興奮によって頭が高速に回転している状態です。その勢いが残っているうちに復習もしたほうが、復習もスムーズなのです。
成績が上がる勉強法 その26
必要な科目が決まったら、必要ない教科は徹底的に捨てること。
合格という目標まで必要な科目が決まったら、必要のない教科は徹底的に捨てましょう。
試験に合格するためには、科目を絞ると同時に、いらない科目を捨てることも重要です。大学受験のみならず、一般的な資格試験においても同じです。試験科目を絞るほど、絞った科目の成績は向上して、合格率も高くなります。しかし、これがなかなか難しいのです。
苦手な科目でも、万が一のときに保険が利くと思い、つい手を出してしまいます。もちろん、できる科目が多ければ、それだけ幅広い教養を身につけることができます。しかし、今は、試験合格という目標に向かって、必要なことだけをしましょう。試験が終わってから、教養のためにほかの勉強に手をつけても遅くはありません。試験勉強中、必要ない科目に手を出すのは、浮気と同じです。苦手科目の克服より、得意なことを伸ばすことが大切です。
好きな科目、興味のある科目、得意な科目は、十二分に勉強に徹します。得意なことは、どんどん伸ばしましょう。確実に点を取れる得意科目に仕上げましょう。どの角度から問題が出てきても、得意科目に関しては自信を持って回答できるように準備しましょう。
成績が上がる勉強法 その27
疲れにくく継続ができる勉強は、耳からしよう。
効果的な勉強法のために、少しでも隙間の時間を有効に活用することが大切です。
勉強する場所といえば、まず教室や机などを思い浮かべます。しかし、私たちの生活の中では、意外な勉強場所があります。「登下校の道」です。社会人には「会社へ向かう電車の中」です。
学校へ向かう道は、ただとぼとぼ歩いているだけでは時間がもったいないものです。目や両手足は忙しいので、教科書を持つ余裕はないでしょうが、肝心の耳は暇を持て余しています。「耳で勉強する」という考えを持ってください。暇をしている耳を使って、何か1つでも勉強をすれば、ほかの人より差をつけることができます。
たとえば、英語のリスニングです。耳で勉強するリスニングであれば、登下校の道はもちろんのこと、たとえ満員電車の中でも勉強ができます。英語のリスニングだけでなく、国語や社会でも、必要な項目を自分の声で録音して、登下校中に聞けば、効果的な勉強になります。
勉強において、耳は見落としがちな感覚器官です。勉強は、目だけでなく、耳でもできます。私はよく、読書を耳でします。本は読むものだという固定観念がありますが、聞いてインプットもできることも忘れないでください。インターネットで本を朗読したファイルをダウンロードして、散歩をしながら聞いています。勉強にもなるばかりではなく、運動不足の解消にもなりますから、まさに一石二鳥です。
読書をするときには、静かな場所や机が必要ですが、聞くだけなら場所を問わず、どこでも読書できる画期的な方法です。耳で勉強して感じるのは「疲れにくい」ということです。目で読書を1時間もすれば、多少なりとも疲れを感じますが、耳で朗読音声を聞く分にはほとんど疲れを感じません。耳は目に比べ、疲れにくい器官です。音声を流しておくだけで勝手に読み上げてくれますから、聞いているだけでOKです。
勉強時間、勉強量が大幅に増えているにもかかわらず、勉強による疲れをほとんど感じない勉強法です。この勉強法を取り入れるだけで、勉強量、勉強時間ともに飛躍的に向上します。
成績が上がる勉強法 その28
「鉛筆とノート」より「ボールペンと紙」のほうがいい。
勉強道具の基本は「ボールペンと紙」です。
「鉛筆とノート」と言いたいところですが「ボールペンと紙」で十分です。私たちは、小学生のころから鉛筆とノートに親しんでいるために、当たり前だと思っています。勉強といえば、何の疑いもなく鉛筆とノートを使って、勉強してしまいます。しかし、実際のところ、鉛筆とノートは効率が悪いです。
勉強の目的は、理解して覚えることです。理解と記憶ができていれば、試験で確実に点が取れます。この目標を達成するために、必要なことだけをそろえます。鉛筆とノートでは、効率が悪いのです。
鉛筆は、いつでも消せるという安心感から、曖昧な気持ちで勉強を進めてしまいます。消しやすい鉛筆を使うため、脳の記憶も消しやすい状態で覚えます。勉強する本人の気持ちは、記憶の深さにも影響します。またノートを書けば書くほど見直す量が増えてしまい、勉強量が増大します。徹底的に記憶することが、一番大切な要素です。記憶するためには、手を動かして、書いて書いて書きまくって、体で覚えます。そのために、ノートではなく、紙で十分です。紙のほうが扱いやすく、書いては捨てて、残すのは記憶だけにします。ノートを残しても仕方ありません。残すのは、ノートではなく、記憶だけにしましょう。
鉛筆も使わずに、ボールペンです。鉛筆で書くと「いつでも消せる」という安心感から、勉強への気合が低下してしまいます。「今ここで書いた文字は一生消えない」という思いで、自分の書く文字に責任を持ちます。勉強に気合を入れ、ボールペンで書き殴ります。ボールペンのほうが、鉛筆より濃い字を書くことができ、目にも残りやすくなり、記憶効果が倍増です。
私は、勉強するときに、鉛筆やノートは使いません。本番試験や模擬試験のときには、書き直すことができるように鉛筆を使います。そうした特殊な状況を除いて、ボールペンばかりで勉強します。事実、鉛筆やノートを一切使わず、試験に合格したこともあります。
使うのは、ボールペンと紙だけです。ボールペンで音読をしながら紙に書き殴ります。口で覚え、目で覚え、体で覚えます。紙いっぱいに字を書いて覚え終わったら、紙をごみ箱に捨てて、また新しい紙を使って書き始めます。
この方法により、特に筆記を中心とする試験では、大いなる効果を発揮します。試験で書くことが要求されるのであれば、普段から書き慣れておかなければなりません。普段から書いていないことを、試験で書けるはずがありません。たとえば、漢字の書き取りです。漢字の書き取りが試験に出題されるなら、ノートに書いている字を眺めているだけでは、覚えているのかどうか、分かりません。
しかし、漢字を書くことができれば、覚えることができているという証明になります。自分の記憶具合も明確にしやすく、またテストでの筆記練習を普段からすることで、本番の試験で威力を発揮します。
英語・国語・理科・数学・社会も基本は、同じです。徹底的に書くことで、本番試験の練習になります。
鉛筆とノートは卒業しましょう。
成績が上がる勉強法 その29
音楽を聴きながらする勉強は、効果的なのか。
気分を高めるために、音楽を聴きながら勉強する人もいるでしょう。音楽には、偉大な力があります。
明るい音楽を聴けば、眠気が覚め、明るい気分になります。お気に入りの音楽であれば、テンションも上がり、やる気もめきめき高まるでしょう。勉強をはかどらせる効果を、音楽に期待する人も多いのではないでしょうか。
さて、実際のところ、音楽を聴きながらする勉強は、効果的なのでしょうか。結論から言えば、音楽の種類によります。
音楽の種類によって、はかどらせる効果もあれば、妨げになる効果もあり、多種多様です。まず、集中力を高める音楽であればいいでしょう。たとえば、落ち着いたクラシックミュージックや、静かな雰囲気のジャズなどです。アルファ波の発生を促す音楽は、集中力だけでなく、記憶力を高める効果もあることが、科学的に確認されています。集中力を高める音楽であれば、勉強をはかどらせる、強力な助っ人になるはずです。
では、音楽なら何でもいいかというと、そうではありません。逆に言えば、集中力を妨げる音楽は、すべて不適切です。
たとえば、歌詞が含まれていたり、賑やかすぎたりする音楽です。音楽中に聴き取れる言葉が含まれていると、無意識のうちに意味を把握しようとするため、集中力が妨げられます。賑やかすぎる音楽は、眠気覚ましに効果があっても、興奮によって勉強の妨げになります。たとえお気に入りの音楽でも、歌詞が含まれていたり賑やかすぎたりする音楽は避けたほうが賢明です。勉強中に音楽が気になる実感があれば、勉強の邪魔になっていると考えるのが適切です。判断に迷うようであれば、静かな環境が無難です。
勉強は本来、静かな環境でするのが基本です。試験中も、音楽がありません。人によっては、静かな環境が適している場合もあるでしょう。
勉強で一番大切なのは、集中力です。勉強では「集中できるかどうか」を軸に考えれば、正しい判断がしやすくなるはずです。音楽を聴くのなら、集中力を維持したり高めたりする曲を厳選しましょう。
自分にとって静かな環境のほうが集中できるのなら、もちろん音楽に頼らない方法も効果的です。
成績が上がる勉強法 その30
合格した後の自分を想像しながら、勉強する。
勉強を継続するのは、単調な作業です。
いくら楽しい勉強、面白い勉強とはいえ、毎日インプットが続けば、ため息の1つも出てしまいます。インプットばかりの勉強だと頭が固くなり、いつの間にかモチベーションも低下してしまいます。はじめはやる気に満ちていても、単調な勉強に浸っていると、だらけたくなる気持ちも出てきます。
そんなとき、やる気アップにつながる、いい方法があります。どんな試験、どんな人にも共通するモチベーションアップの方法です。合格した後の自分を想像しながら勉強します。合格証を手にして喜びにあふれ、学力に自信を持った合格後の自分を想像します。
嬉しい・楽しい・うきうき・わくわくという感情が湧き、だんだん勉強のモチベーションが高まります。イメージングは、モチベーションアップの効果だけではありません。本当に現実に変えてしまうという無意識の力まであります。
合格後の喜んでいる自分を強く想像していると、無意識レベルまで定着して、夢の達成に向け、日常生活を変える力があります。新しい自分・成長している自分を想像すると、やる気が出るだけでなく、現実に向かわせる力が働き、現実化します。試験勉強中は、合格後の喜んでいる自分を想像しましょう。
まず、やる気がなくなったときも、合格後の喜んでいる自分を想像して、やる気に変えましょう。
想像すればするほど、本当に現実になるのです。