短期記憶と長期記憶

「短期記憶」と「長期記憶」

まずは、記憶のメカニズムについて
記憶には「短期記憶」「長期記憶」という二つの貯蔵庫がある短期記憶は数十分もすると消え始めてしまいます。また、記憶できる量も非常に少ないという特徴があります。

長期記憶では、一度ここに貯蔵されるとすぐに忘れることがない。その容量を数字であらわすなら、一説には1000兆の項目と言われる事もあります。短期記憶と長期記憶では、情報が格納される脳の場所が異なり、一旦、短期記憶に格納された情報の一部が長期記憶に転送されます。
学習における脳の使い方としては、いかにして長期記憶に知識をストックできるかが鍵。
長期記憶に情報を格納させるためにはどうしたらいいのか?
ポイントは6つ!

1.覚えようという強い意志・興味を持つこと
人間は、記憶容量を無駄遣いしないよう、無意味と判断したことは記憶しないようにできています。好きなことなら良く覚えられるけど、勉強になると覚えられないのは、この覚えようとする意志がないからです。年齢を重ねていくと、物忘れが酷くなるのはその事に興味がなくなったからとも言われています。

2.理解して覚える
意味も分からず丸暗記しても、それは長期記憶に移行されることはありません。あくまで短期記憶止まりになってしまうのです。たとえその場では覚えたつもりでも、脳は嘘をつきません。丸暗記ではなく「原理・本質」を理解して覚えることである。
たとえば、なぜ憲法が生まれたのか、民主政治を実現するにはどのような条件が必要なのか。理解して覚えたことは忘れにくい
たとえば、「学問」や「顧問」の「問」という字には「門」構えに「口」がいる。これは学問や顧問は口を使うからだと教えられたことがある。それに対して、「専門」の「門」には「口」がいらない。「学問には口がいるが、専門には口を出すな」とでも覚えておけば一生忘れない。

3.関連づけて覚える
中学校の時に「いい国(1192)作ろう鎌倉幕府」などと覚えなかっただろうか。
要するに絶対に忘れないものに結びつけて覚える。

4.復習すること
○ 復習の重要性
コリン・ローズの「加速学習法実戦テキスト」の中に、復習の重要性を端的に表している実験結果が載っています。
この実験とは、与えられた制限時間をどう使ったら効率よく記憶できるかを調べたものです。具体的には、勉強の時間と復習の時間の割合を変えながら、記憶できた言葉の数を調べています。
結果は、次のようになったそうです。
勉強の時間:100%, 復習の時間:0 % ⇒ 65
勉強の時間:80% , 復習の時間:20% ⇒ 92
勉強の時間:60% , 復習の時間:40% ⇒ 98
勉強の時間:40% , 復習の時間:60% ⇒ 105
勉強の時間:20% , 復習の時間:80% ⇒ 137
つまり、復習に割く時間の割合を大きくするほど成績が良い。必要以上にじっくり勉強(=理解,暗記作業)しても意味がない。

○ 復習はタイミングも大切
まず、学校で習った内容は、その日の夜に復習するようにしましょう。また、夜に勉強した内容は、次の日の夜に復習するようにしましょう。よく「その日のうちに復習しなさい」と言われますが、これには理由があったのです。
なお復習は1回限りでは足りません。忘れてしまう前に反復することにより、長期記憶が育ちます。2回、3回と繰り返すことによって、脳細胞同士のつながりが強固になっていくのです。具体的には、その週の土日に復習をすれば効果的です。そして2回目からは、あまり多くの時間をかけなくても構いません。
その後の反復学習は、1週間後、1か月後というように、だんだん間隔を離していくと、効果的です。
5.アウトプットの重要性
勉強したことをアウトプットしてみるのは、本当に理解できているかどうかをチェックできるので重要

6.覚えた後、睡眠を取るのも効果的
長期記憶にうまく移行させることができるかどうかは、記憶した後の行動にも影響を受ける。「就寝前の10分か15分で暗記物を勉強し、十分に睡眠を取った後、翌朝5分で確認する」といった学習方法は非常に効果がある。逆に睡眠前にマンガを読むなど勉強以外のことをしないこと。

長期記憶のメカニズム

記憶の入り口の2つめにある短期記憶は、脳の中の「海馬」と呼ばれる場所にある、一時的に保存するための記憶装置で、記憶を保存できる期間は最大で1~2週間です。一方、記憶容量が1000兆項目分ある、記憶保存期間も長い長期記憶は、大脳新皮質の側頭葉と呼ばれる別の部分にあります。
短期記憶に置かれた情報のうち、脳が覚えておくに値すると判断した情報のみが、長期記憶に再び移動されます。短期記憶は1~2週間しか記憶できませんから、長期記憶に移動しなかった情報は、そのままにしておくと自然に消滅してしまいます。ですから、テストが終わった後そのままにしておけば、記憶は長期記憶に入ることなく消えてしまうのです。
そのため、短期記憶を長期記憶に移し替えなければ、実力テストの点数向上にはつながらないのです。
先ほど、短期記憶は海馬の中で行われると書きましたが、記憶の重要さを判断し、取捨選択しているのも海馬です。そのため、海馬に「これは長期的に記憶するべき重要な情報だ。」と判断させれば、長期記憶への扉が開かれることになるのです。
この長期記憶への扉を開く方法は、次の通りです。

1. 復習すること
海馬は、その情報が繰り返されたかどうかによって、重要な情報かどうかを判断しています。一度きりの情報であれば、海馬は重要でないと判断し、短期記憶から長期記憶に移さず、そのまま忘れてしまいます。そのため、覚えなければならないことは、繰り返しその情報を刺激として入れなければなりません。
その方法が「復習」です。復習をして、海馬に情報を送り続ければ、海馬は重要な情報として判断し、その内容を短期記憶から長期記憶に移します。

2. 期間を決めて複数回の復習をすること
復習はタイミングも大切です。
勉強した直後ではあまり効果がありません。単調なことに脳が反応しなくなる可能性があるからです。逆に期間をあけ過ぎても意味がありません。それでは、いつ復習すれば良いでしょうか。具体的な方法は次の通りです。
まず、学校で習った内容は、その日の夜に復習するようにしましょう。
また、夜に勉強した内容は、次の日の夜に復習するようにしましょう。
よく、「その日のうちに復習しなさい」と言われますが、これには理由があったのです。なお復習は1回限りでは足りません。忘れてしまう前に反復することにより、長期記憶が育ちます。2回、3回と繰り返すことによって、脳細胞同士のつながりが強固になっていくのです。具体的には、その週の土日に復習をすれば効果的です。そして2回目からは、あまり多くの時間をかけなくても構いません。
その後の反復学習は、1週間後、1か月後というように、だんだん間隔を離していくと、効果的です。

3. 寝る前の暗記が効果的
睡眠が暗記に与える影響を調べるために、一つの実験が行われました。暗記を行った後、被験者の一方は眠らせておき、他方は通常のように目覚めさせておくという実験ですが、この実験から、記憶した後睡眠を取った方がよく覚えていることが証明されました。
『記憶は睡眠中に定着するのです。』
寝ている間に見る夢は、記憶の整理が行われている一つの表れという説があります。寝ている間に、その日覚えたことが整理されるのです。就寝前の30分は、暗記、特に復習のためのゴールデンタイムです。この時間に、今日覚えたところを一通り目を通すようにすれば、効率よく短期記憶を長期記憶に写すことができます。
逆に睡眠前の30分間にマンガを読むなど勉強以外のことをしてしまいますと、そのことで頭がいっぱいになり、勉強が手につかないようになってしまいます。
成績向上を目指すなら、寝る前の復習を習慣づけましょう。