勉強する気にさせるの2つの方法

~ 勉強する気にさせるの2つの方法 ~
「中学校に入ってから、お母さんはお子さんに対して『勉強しなさい!』という言葉を家でお子さんに使っていませんか。」
「ええ、毎日言っているのですが、一向にやりません。」
「実は勉強しなさいという言葉が子どもを勉強嫌いにさせるという事実をご存じですか。」
「でも、うちの子は言わないとやらないのです。」
「それは言うから、やらなくなってしまうのです。親は子どもにとって教師ではないので、勉強のことを言われると、子どもは無意識のうちに反発心を持ってしまいます。
例えば、お母さんが家でご主人に「今日は肉料理にしろ」「明日はカレーを作れ」と言われるよりも「今日の夕飯とてもおいしかったよ」と言われたほうが、次もおいしい料理を作ろうと思われるのではないでしょうか。人間の心というものはそういうもので、やる気は強制された言葉からは出てこないのです。」
私はそのとき、「『勉強しなさい!』と1回言えば、偏差値が1下がると思ってください」ということも言いました。これはひとつの例えなので、本当に1下がるというものではありませんが、逆効果になりますというメッセージとして使っていました。
しかし、「勉強しなさい!」という言葉を使ってはいけないとなると、今度は親御さんのほうにストレスが溜まってしまいます。そのストレスが何倍にもたまって爆発してしまうと、さらに被害が拡大しますね。では、どうすればよいのでしょうか? これには2つの方法があります。

「勉強しなさい」ではなく「やるべきことをやりなさい」と言い換える
先述したように、親は子どもにとって教師ではないので、子どもは無意識のうちに親から勉強のことをあれこれ言われることを嫌っています。しかし人としてあるべき行い、道徳や倫理観などは親から言われても、うるさいと思いながらも無意識に受け入れてしまうものなのです。ですから、「やるべきことをやる」という言葉には、道徳的観念があるので、子どもは反発できません。
しかしそうは言っても、子どもは勉強するようにはなったが、積極的に勉強するようになるとはかぎらず、「やるべきことをやりなさい」と言われたから仕方なしにやり続けるというのも困ります。
そこで、子どもの心が前向きに勉強に向かわなければ、2つ目の方法を使います。

「子ども手帳」を使う
手帳といっても独自の子ども手帳が存在するのではなく、市販のお気に入り手帳を使います。そこにやるべきこと(勉強やお手伝い、宿題など)を書き込み、やり終えたら赤ペンで消すというだけのことです。
一般に、子どもは手帳を持ちません。それは手帳を持つだけの予定がなく、時間割は家庭か学校に決められているからです。しかも日々の行動のパターンがある程度決まっており、ビジネスマンのようにルーチンワーク以外の予定が入ることはありません。しかし、子どもの行動をつぶさに観察してみると、やるべきことが決まっているにもかかわらず、それをしっかりこなしている子どもは珍しいものです。多くの場合、母親に「勉強しなさい!」「宿題やったの!」と半ばしかられて、ようやく行動を起こします。
なぜこのようなことが起こってしまうのでしょうか?それは「勉強」という一見、面倒くさく、魅力的でもない“作業”に心が向かわないためなのです。
そこで心を勉強に向かわせるために「子ども手帳」が登場します。子どもに手帳を持たせることは早いと思われるかもしれませんが、実際に「子どもたちに手帳を持たせて、そこにやるべきことを書かせ、終わったら消す」という簡単な作業をさせるだけで、従来の勉強しない状態から『やる状態』へと、180度転換するようになるから不思議です。

やるたびにポイントがもらえると、さらに効果的
さらにモチベーションを引き出すために、『ポイント化』します。つまり、ひとつの行動(タスク)が終わったら、それが1ポイントに換算されて累積して貯まっていくようにするのです。
世間では、いい点数を取ったら、ご褒美としてお小遣いをあげたり、何か買ってあげたりするご家庭もありますね。身近な人に聞いても、この仕組みを使って動機づけを高めようとする親御さんは多いようです。これは達成したらプレゼントをあげるという結果に着目したモチベーションアップの方法ですが、私が着目した点はこれとは異なります。ポイントは原則的に、やるべきことがひとつ終われば、その都度入ってくるのです。つまり、プロセスに着目をしているのです。
この手帳の目的は、毎日歯を磨くことが当たり前であるように、勉強も習慣化させて当たり前にさせることにあります。ですから、日々の予定をこなせば、それがポイントにつながるということであれば、モチベーションは高まるのです。そして習慣化された勉強は、必ず結果を生み出していきます。

幼稚園で毎日もらったシールと同じ
ポイント化については、ポイントのために勉強するようになっては困るという懸念を持つ方もいるかもしれませんが、私が知るかぎり、これまでそれによるデメリットがあったとは報告されていません。
幼稚園では登園するたびに、シールが1枚もらえて張っていきますよね。初めはシールをもらうために幼稚園にいく子がいるかもしれませんが、毎日通園しているうちに、習慣化され、シールのための通園ではなくなっていきます。これと同じことなのでしょう。
ひとりでも多くの子どもが、勉強に前向きに取り組むようになり、また保護者の皆様の笑顔が子どもに向けられるようになってほしいと願っています。そのひとつの手段として、この「子ども手帳」を使ってみてはどうでしょうか。お子さんの心を高め、毎日の勉強の習慣化につながるはずです。

~ 勉強をさせる二つの方法より ~